着手金とは弁護士に事件を依頼する際に最初に支払う報酬

着手金とは弁護士に事件を依頼する際に最初に支払う報酬

弁護士に支払う着手金について解説します。着手金は、弁護士に事件を依頼する際に最初に支払う報酬のことで、前金とは違い、費用を前払いするものではありません。成功報酬や実費などは着手金とは別にかかります。また、着手金の相場についてもまとめました。着手金について知り、失敗しない弁護士選びの参考にしてください。

着手金とは

着手金とは、弁護士に事件について依頼する際、結果が成功・不成功かに関係なく支払う弁護士費用の一部です。着手金の額は、事件の内容や各法律事務所によって異なります。事務所によっては、過払い金請求や交通事故における損害賠償請求に関する事件など、場合によっては着手金がないケースもあります。

着手金は、依頼した事件が望む通りの解決をしなくても返ってきません。また、途中で弁護士を解任しても原則として返金されません。そのため、着手金の性質を理解し、金額に納得したうえで委任契約の締結および支払いをすることが大切です。

以前は、日本弁護士連合会が報酬について基準を設けていたため、どこの法律事務所に依頼しても、同じ性質の事件であれば弁護士費用は一律でした。しかし、現在は弁護士費用が自由化されたため、それぞれの事務所で着手金の金額は異なります。

着手金の相場としては、任意整理であれば2~5万円程度、離婚で20万~30万円、刑事事件で30~40万円、民事事件は訴訟額によって変わりますが、最低着手金は10万円からとなっている場合が多いと思います。

着手金が無料、または割安でも、その代わりに成功報酬が高いケースなどもあります。また逆のケースもありますので、弁護士に依頼する際は着手金の金額だけではなく、全体の報酬額や、弁護士事務所の対応力、実績、相談しやすさなどを総合して、ご自身が納得できる法律事務所に依頼されることをお勧めします。

着手金の4つの注意点

①着手金は戻ってこない

着手金は、事件に着手、すなわち、手を付けたことに対して支払われる報酬なので、結果として事件解決に失敗しても戻ってこないことが特徴です。また、弁護士とうまくいかない、事件の状況が変わった、事件解決のためにより良い弁護士事務所が見つかったといった理由で契約を解除しても、着手金は原則として返還されません。

弁護士によっては、それまでの依頼の経過や仕事内容、解任に至った理由などを加味して、着手金の一部を返金してくれる人もいます。しかし、こうした処置は例外的で、基本的に着手金は戻ってこないと考えましょう。

②着手金の額は事件によって変わる

着手金は、相場はあるものの、事件の内容や各法律事務所によっても変わります。基本的に、比較的簡単に解決できる事件ほど着手金は安くなり、難しい事件ほど高額になります。

借金問題でもっともよく用いられる解決方法である任意整理は、比較的着手金が安い事件です。お金に困っていても依頼しやすくなっていますので、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士がその事件に慣れているかどうかによっても着手金の額が変わることがあるので、債務整理であれば債務整理が得意な法律事務所、離婚事件であれば家事事件が得意な法律事務所に頼んだほうが、実績があるうえに着手金が安くなる傾向があります。

③弁護士費用は着手金だけではない

着手金を支払った後も、事件が解決した場合は成功報酬に加えて実費・日当等の諸費用を支払う必要があるケースがあります。そのため、ご自身の場合は解決までに全体としてどのくらいの費用が掛かるのか、費用の概算をあらかじめ弁護士に確認したほうが良いでしょう。

④着手金を何度も支払うことがある

例えば、離婚について弁護士に依頼し、離婚交渉だけでは解決せずに離婚調停を行うことになった場合、弁護士によっては交渉から調停の段階に移ったことに対して、さらに着手金を取ることがあります。さらに、調停から裁判に移行した場合は、追加の着手金が発生します。

このように、交渉→調停→裁判と、段階に応じて着手金を求める法律事務所も少なくありません。通常よりも着手金額は減額されますが、弁護士業界では一般的な料金設定となっています。料金についてよく理解しないまま弁護士に依頼し、予想外の着手金を要求されて驚くケースがありますので、事前に確認しておきましょう。

このような利用金設定は、一見損をするようにも思えますが、交渉のみで解決できれば、追加の着手金を求めない法律事務所よりも弁護士費用が割安に済むケースもあります。そのため、複数の事務所の弁護士費用を比較したうえで、総合的に見て法律事務所を選択されることをお勧めします。

前金と着手金の違いは?

前金とは、売買契約の際に商品代金の一部を前払いすることで、前払金や前渡金ともいわれています。これに対し、着手金は事件に手を付けた段階で発生する料金で、事件全体の報酬を一部前払いするという性質のものではありません。

したがって、着手金以外にも、別に弁護士が遠方に出張した場合は日当や交通費を支払う必要がありますし、書類の作成や事件の調査のためにコピー代などの実費がかかります。着手金の中から支払われるという仕組みではないので、注意が必要です。

着手金無料の法律事務所があるのはなぜ

一般的な法律事務所では着手金が設定されていますが、例外的に、事件によっては着手金を無料としているケースがあります。なぜ、通常は請求する着手金を無料にしているのかというと、大きく二つの理由があります。

①着手金があると経済的・心理的ハードルが高く、せっかくお金を請求する権利があっても諦めてしまうケース

  • 過払い金返還請求
  • 出会い系サイト被害
  • 残業代請求
  • 男女問題の不貞慰謝料請求
  • 交通事故の損害賠償請求

こうしたケースにおいては、弁護士に委任するハードルを下げるため、着手金が無料となっている法律事務所があります。

②法律事務所が得意分野としており、効率的な事件解決が可能なケース

過払い金請求など、類似の事件を数多く手掛けている法律事務所は、それだけ効率的に事件を処理することができ、1件あたりにかかる費用を下げることができます。

また、着手金を安くしたり、無料にしたりすることで、類似事件がさらに集まりやすくなります。近年は、司法制度改革により、数多くの弁護士や法律事務所が存在するようになりました。差別化を図るためにも専門性を大事にする法律事務所は多く、依頼者にとっても、こうした法律事務所は実績があり費用も安いため、魅力的であると言えます。

着手金が高いほうが弁護士の腕が良い

法律事務所の中には、相場よりも高い着手金で依頼を受けている事務所も存在しますが、一般的には、実績が多く同様の事件の解決に手馴れている事務所は、着手金を安く抑えられるといわれています。

もっとも、着手金が安いからと言って、対応が良いと一概には言えません。相場の範囲内の着手金であれば、複数の法律事務所に相談を持ち掛け、相談のしやすさや料金体系、サービス内容などを総合的に判断して、自分に合う法律事務所・弁護士を探されたほうが良いでしょう。

弁護士報酬の種類

弁護士費用は主に、①相談料②着手金③成功報酬④日当⑤実費の5種類があります。①の相談料は弁護士に委任する前に発生する料金で、②~④は弁護士と委任契約を締結した後に発生する料金です。

①相談料

相場は、30分5,000円程度です。最近は、各弁護士事務所が事件の性質などによって無料で相談を受け付けているところが増えています。特に、借金に困っている人からの債務整理の相談や、過払い金請求の相談に関しては、無料にしているところが多いので、確認の上、気軽に相談してみましょう。

一度相談したら、相談した法律事務所に依頼しなければならないというルールはなく、複数の法律事務所に相談することも可能です。委任契約を締結した後は、事件に応じて弁護士費用が掛かってきます。そのため、相談の段階で、しっかりとご自身に合う弁護士を選ばれることをお勧めします。

ポイントとしては、不明瞭なことを質問して、しっかりと答えてくれる弁護士が良いでしよう。特に弁護士費用に関して、曖昧なことを言われた場合は避けたほうが無難です。

弁護士に依頼する事件は、借金問題や離婚、相続など、プライベートな問題に立ち入る内容が多くなります。そのため、実際に話してみて相談しやすい弁護士かどうかも大切です。

②着手金

着手金は、委任契約の締結時に支払う金銭で、その後、弁護士の解任等を行っても原則として返ってこない料金です。事件によっては着手金を無料としている法律事務所もありますので、お金をすぐに調達できないケースでも相談してみましょう。

③成功報酬

事件を解決できた際に支払う報酬です。仕事の成果について、例えば「過払い金の回収額の25%」というように設定されることが多いです。

④日当

弁護士が遠方に出張したケースなどは、日当を支払います。事前の相談の段階で、弁護士に日当の額やご自身のケースで日当が発生しそうかという点を確認しておきましょう。

⑤実費

交通費や書類の作成にかかった費用、印紙代や切手代、コピー代、その他の費用について支払います。

委任契約をする前に確認したほうが良いポイント

弁護士との委任契約は、多額の弁護士費用が発生する場合が多いです。そのため、事前の相談段階で、複数の弁護士事務所に相談し、費用面については不明な点をきちんと問い合わせて、納得したうえで契約しましょう。

お金のことは言い出しにくいかもしれませんが、報酬について不明瞭なままで契約をしてしまうと、追加の着手金を取られたり、日当が予想以上の高額になったりして、後になって困惑することがあります。費用が掛かりすぎることに立腹して、弁護士を解約したとしても、着手金は原則として戻ってきません。

相談の段階で、あらかじめ、ご自分のケースに類似した事件だと解決までにどのくらいの弁護士費用がかかるか、ホームページの記載だけではなく、実際に確認しておきましょう。

また、弁護士と契約する際には、委任契約書が渡され、これにサインをします。この契約書にはしっかりと目を通し、不明点や疑問点は法律事務所に確認したうえで、納得してサインすることをお勧めします。

着手金の相場はどれくらい?

着手金の相場は、事件によっても変わります。以下に代表的な事件について、一般的な着手金の相場をご案内します。

【債務整理事件】

個人再生事件については、住宅資金特別条項をつける手続だと着手金も高額になる傾向があります。また、自己破産事件は、同時廃止よりも管財事件のほうが着手金が高額になる傾向があります。

【離婚】

離婚事件の相場は20~30万円です。協議、調停、裁判と段階が進むにつれ新たに追加の着手金が発生する法律事務所と、そうでない事務所がありますので、相談の段階で確認しておきましょう。

【相続】

相続の場合は、対象となる相続分の時価相当額を基準として着手金が設定されることが多いため、事件によってかなり差があります。

【刑事事件】

刑事事件の着手金の相場は、30万~50万円程度でしょう。事件の内容が複雑な場合は増額される傾向があります。

【その他の民事事件】

弁護士報酬が自由化される以前は、民事事件については上記の図のように定められていました。今は自由化されましたが、相場の目安としては活用できます。民事事件の最低着手金は10万円となっていました。

ひばり法律事務所の着手金

弁護士法人ひばり法律事務所では、債務整理及び出会い系サイト被害事件について、以下の着手金を設定しています。

成功報酬やその他必要な経費などについては、以下をご参照ください。

「弁護士法人ひばり法律事務所:費用について(https://hibari-law.net/fee/)」

上記の事件につきまして、法律相談は無料となっています。お困りのことがありましたら、お気軽にご連絡ください。