自己破産手続きのやり方 種類別の流れや自分でやる方法
自己破産手続きのやり方について紹介します。自己破産には大きく分けて「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、管財事件になった場合は裁判所によって破産管財人が選任されます。それぞれの手続きの大まかな流れと、自己破産を自分一人で行う方法やメリットとデメリットをまとめました。
目次
自己破産とは何か(手続きの目的と効果の簡単なおさらい)
自己破産とは、裁判所を通じて手続きを取り、借金を帳消しにする方法です。借金に困った人を経済的に立ち直らせることを目的とする手続きであり、借金をゼロにできる代わり、一定額以上の財産は処分されます。
【手続きの目的】
借金に困った人(債務者)が借金問題を解決する法的な手段のことを債務整理と言います。自己破産は債務整理の一種で、「借金などの債務をゼロにできる」という最も強力な手段です。自己破産は借金問題を完全に解決し、債務者を経済的に立ち直らせることを目的とする手続きです。
【手続きの効果】
自己破産の最大の特徴は、「免責」という、借金の支払いが免除される制度があることです。自己破産を申立てると、裁判所は審査を行い「この人は免責しても良い」と判断すると免責許可決定を出します。免責許可が出れば、過去にした借金は帳消しになります。
その反面、デメリットもあります。債務者に不動産や高価品など一定金額以上の財産があった場合、「破産財団」に組み込まれます。破産財団に入った財産は、破産管財人によって管理され、換価されて債権者に配当されます。つまり、債務者はその財産を手放さなくてはなりません。
もっとも、家財道具や価値の低い財産などは処分されません。自己破産は生活を立て直す制度のため、生活に必要な財産はちゃんと残るよう配慮されています。「自己破産をしたら財産をみな奪われて路頭に迷う」と言ったことはありませんので、安心してください。
自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2種類がある
自己破産には、大きく分けて同時廃止と管財事件の2種類の手続きがあり、裁判所がどちらかに振り分けます。
(1)同時廃止
同時廃止とは、財産が無く、事案も比較的単純な人向けのケースで、破産管財人が選任されません。裁判所は、破産手続開始決定を出すと同時に、手続きの終了を宣言します。このため、「同時廃止」と呼ばれています。
同時廃止になると、財産が処分される手続きが無く、予納金(裁判所費用)も2万円ほどと安くて済みます。また、免責までにかかる期間も短くなります。
日弁連の「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査(https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/publication/pamphlet/2023_hasan_kojinsaisei.pdf)」によれば、2023年に破産した人のうち66.91%が同時廃止になっており、過半数を超える人が同時廃止手続により免責を受けています。
(2)管財事件
管財事件とは、財産がある人や、事件の内容が複雑であるなど、裁判所が詳しく調査する必要がある人向けのケースで、破産管財人が選任されます。
破産管財人とは、裁判所が選任する破産手続きのプロの弁護士です。破産した際に処分対象となる財産の総体を破産財団と言いますが、破産管財人は主に破産財団の管理、換価処分、債権者への配当を行います。
また、破産管財人は、免責不許可事由に関する調査を行います。免責不許可事由とは、免責が受けられなくなる事由のことで、代表的な例が「ギャンブルや浪費が原因の借金」です。
免責不許可事由があっても、破産管財人は事情を詳しく調査したうえで、「免責を相当とする」との意見書を裁判所に提出することができます。これを参考に、裁判官は「裁量免責」により、免責を許可することが可能です。
管財事件になると、免責までの期間が長くなります。また、管財事件には「通常管財」と「少額管財」の2種類があり、通常管財の場合は予納金が最低でも50万円以上、少額管財でも20万円以上かかります。これは、破産管財人に報酬を支払う必要があるためです。
債務者としては、同時廃止になった方がメリットが大きいと言えます。しかし、日弁連の「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査(https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/publication/pamphlet/2023_hasan_kojinsaisei.pdf)」によれば、2002年に破産した人のうち管財事件となったのはわずか1.82%゛でしたが、2023年では26.85%と、増加傾向にあります。
そのため、事前に弁護士に、どちらに振り分けられそうか見込みを聞いておくと良いでしよう。
自己破産のやり方①:同時廃止事件の手続きの流れ
同時廃止となりそうな見込みでも、弁護士に依頼して進めたほうが、より確実に免責許可を受けることができます。
(1)弁護士に法律相談・依頼
弁護士に正式に自己破産を依頼すると、委任契約書を作成します。また、各債権者に受任通知を発送します。受任通知を受け取った債権者は、以後、債務者に直接取り立てることができなくなります。
(2)申立準備
弁護士は正確な債権額を確定するために調査を行います。他方、依頼者には住民票や預金通帳の写しなど、必要な書類を取り寄せたり、家計簿(家計収支表)をつけたりしてもらいます。
(3)管轄の地方裁判所に申立
申立書類の準備が整ったら裁判所に提出します。その後、裁判所によっては即日面接や破産審尋が行われることがあります。
※東京地裁の場合、申立て日から3日以内に裁判官と弁護士の面接が行われます(即日面接制度)。こちらの面接については、債務者本人は出席の必要はありません。
(4)自己破産手続開始決定および同時廃止の決定
裁判所が書類を審査し、債務者が支払不能の状態にあると判断すると、破産手続開始決定が出ます。同時廃止の場合、同時に手続きを廃止することが宣言されます。
手続きの廃止と言っても、財産の管理や処分に関する手続きが廃止されるという意味で、免責に関する手続きは継続します。
(5)免責審尋
裁判官が免責を許可するかどうか判断するために行われる、債務者との面談です。通常は、破産開始決定から2~3か月後に行われる場合が多いです。
その間に債権者から免責に関して意見がないか裁判所が確認をします。
(6)免責決定
東京地裁の場合、免責審尋から約一週間後に決定が行われます。免責許可が決定した場合、官報に掲載され、1か月ほどで免責許可が法的に確定します。
自己破産のやり方②:管財事件(少額管財含む)の手続きの流れ
管財事件となる見込みの場合、事案が複雑、財産の換価が必要または免責不許可事由があるケースですので、弁護士に依頼されることを強くお勧めします。
(1)弁護士に法律相談・依頼
(2)申立準備
(3)管轄の地方裁判所に申立
基本的に、(1)弁護士に法律相談・依頼から(3)管轄の地方裁判所に申立までの流れは、同時廃止と同様です。ただし、管財事件の場合は事案が複雑な分、同時廃止より準備に手間や時間がかかることがあります。
また弁護士費用以外に、管財費用の準備も必要となります。
(4)自己破産手続開始決定
破産手続開始決定と同時に、裁判所によって破産管財人が選任されます。まず、破産管財人と債務者、代理人弁護士の3者で面談が行われます。
(東京地裁の場合には、開始決定までに原則3者面談をしなければならず、かなりスケジュールがタイトになります。)
(5)債権者集会・免責審尋
開始決定から2~4か月後に債権者集会が開催されます。このときに合わせて免責審尋が行われます。
(6)免責決定
免責許可が決定すると、官報に掲載され、1か月ほどで免責許可が確定します。
自己破産は自分でできるのか?自分でやる場合のやり方と必要書類
自己破産は、手続き上は弁護士を立てずに本人だけでも申立てが可能です。その場合は、必要書類の準備や裁判所での手続き・面接などを全て自力で行う必要があります。
(1)必要書類の作成・取り寄せ
自己破産に必要な書類として、代表的なものをご紹介します。
【作成や記入が必要な書類】
・申立書
・陳述書
・債権者一覧表
・財産目録
・家計表
これらの書類の書式は、各裁判所のホームページからダウンロードできます。
【取り寄せやコピーが必要な書類】
・戸籍謄本
・住民票
・給与明細や確定申告書、課税証明書など収入を証明する書類
・登記簿謄本、アパートの賃貸契約書など住居に関する書類
・預金通帳など財産に関する書類
必要書類は、申立てを行う地方裁判所によっても異なりますので、正確な情報はお住まいの地域を管轄する地方裁判所にお問い合わせください。
(2)地方裁判所へ申立て
必要書類が準備できたら、地方裁判所に提出して破産を申し立てます。この際、予納金と言って、裁判所費用を納める必要があります。
【予納金の内訳】
・申立て手数料…1,000円から2,000円程度
・予納郵券(切手)…数千円程度(※)
・官報掲載料…1万3,000円~2万1,000円程度
※裁判所によりますが、東京地裁の場合4,950円
(3)破産審尋
申立て後は、破産審尋が裁判所で裁判官と面談します。これを破産審尋と言います。弁護士に依頼していない場合は1人で面談することになります。審尋後、同時廃止に振り分けられれば追加の予納金はかかりません。管財事件となった場合は、裁判所に予納金を支払うことになります。
※ただし、本人申立の場合には管財事件となる裁判所もあります。
(4)破産手続開始決定
同時廃止の場合は破産管財人は選任されません。管財事件の場合は、破産管財人が選任され、以後は破産管財人の指示に従いながら破産手続きを進めていくことになります。
(5)債権者集会・免責審尋
同時廃止事件の場合には免責審尋、管財事件の場合には債権者集会・免責審尋が行われます。免責許可を出すための確認的な面談となります。通常は、5~10分ほどで終わります。
(6)免責許可決定
免責許可が決定すると、官報に掲載され、1か月ほどで免責許可が確定します。
自己破産を自分でやるメリットとデメリット
自己破産を自分で行う最大のメリットは、弁護士費用がかからないことです。借金で首が回らない状況で、さらに弁護士費用を支払うのは大変なので、ご自分でチャレンジする方もいます。他方、最大のデメリットとしては、手続きに失敗する可能性があります。
自己破産のためには、多数の書類を用意し、裁判官との面接も一人でこなさなくてはなりません。また、「自己破産直前に特定の債権者にだけ優先的に弁済してはいけない」と言ったルールもあります。
弁護士に依頼していれば、依頼者の準備と並行して書類の作成や確認を行います。また、自己破産手続時に必要なアドバイスが受けられます。こうした助言なしに自己破産を行うと、書類不備の見落としや免責不許可に該当するリスクが高まり、最悪の場合は自己破産に失敗します。つまり、借金が免除されなくなるのです。
また、管財事件になりそうな場合、一人で行うとかえって費用が高くつく可能性もあります。管財事件には「通常管財」と「少額管財」の2種類があり、通常管財は裁判所費用が50万円以上、少額管財の場合は20万円以上となっています。弁護士がいないと「通常管財」に振り分けられてしまうのです。
いずれにせよ、まずは無料の法律相談を利用してみることをおすすめします。
自己破産をスムーズに進めたいなら弁護士に相談を
自己破産手続をスムーズに進めるのであれば、弁護士に相談・依頼するのが確実です。
日弁連の「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査(https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/publication/pamphlet/2023_hasan_kojinsaisei.pdf)」によれば、2023年に破産した人のうち、弁護士を代理人に立てているケースは93.84%にのぼります。多くの人が、弁護士に依頼するのが安全・確実と考えていることがわかります。
管財事件が増加傾向にあることをあわせて考えても、弁護士に相談して、あらかじめ十分に準備を整えておくことが大切です。
弁護士に相談することには多くのメリットがあるので、まずは無料相談に気楽に問い合わせてみて下さい。
東京弁護士会 登録番号 53737
困っている人を助けたい、という想いから弁護士を志しました。
女性でも相談しやすい環境をご用意していますので、お気軽にご相談ください。
【経歴】
明治大学法学部卒
明治大学法科大学院修了
東京弁護士会所属(司法修習68期)


